• Greetingご挨拶
六鹿

六鹿正治Masaharu Rokushika

公益社団法人日本建築家協会第12代会長

今までにない新しい発見を

JIAの全国大会が久しぶりに東京で9月に開催されます。
今回は21年ぶりに日本で行われるアルカジア東京大会2018と同一会場で連続して開催する設定になっています。木曜日の朝からJIAの全国大会に出るつもりで来れば、アルカジア大会の主なプログラム全部にも出ることができます。同時通訳もつきます。いわば一粒で二度おいしい全国大会になりそうです。

東京では今、オリンピックに向けた都市更新を含めて多数の大型都市開発が動いています。昨年の徳島大会のテーマ「土着」の対極のような巨大都市で、建築、環境、まちづくりの多様性について考えてみてはいかがでしょうか。しかも、今回は成長著しいアジアの国々で勢いよく活動をしているバリバリの建築家たちが大挙してやってくるのに会えるのです。彼らはアルカジア(アジア建築家評議会)に加盟するアジアの21の国と地域の代表たちです。彼らの多くは日本の建築や技術を知ろうと目を輝かせてやってきます。彼らはあなたに会い、あなたの考えを聞き、あなたの作った建築を見たいと強く思っているのです。各国代表の学生たちも二百数十人集まって共通の設計課題に取り組みます。

JIA建築家大会2018東京のテーマは「素なることと多様な相」。これは一足先に始まるアルカジア東京大会2018のテーマ"Simplicity|Multiplicity"の邦訳でもあります。アルカジア大会からJIA全国大会までテーマは切れ目なくつながっていると考えてください。基調講演やシンポジウムを9月13日(木)・14日(金)と2日間続けて聴けば、今までと違う何かが見えてくるかもしれません。日本の友人だけでなくアジアからの友人と共に昼食や夜のパーティを楽しめば、何か新しい関係が生まれるかもしれません。15日(土)も合同シンポジウムなど魅力的な企画が満載です。日本はもちろん、アジアを含めた世界における建築のあり方、まちのあり方、そして建築家のあり方を、「素なることと多様な相」というコンセプトをもとに、多彩な視点から眺めなおしてみることは、今の私たちにとってとても大事なことではないでしょうか。

今年の全国大会は、あなたに今までにない何か新鮮なものをもたらしてくれるかもしれません。

藤沼

藤沼傑Masaru Fujinuma

日本建築家協会 関東甲信越支部長 / 2018全国大会実行委員長

国際と次世代の問題を大いに議論できる大会

本大会の最大の特徴は、アルカジアの大会と同時開催することです。アジアでも建築家の職能、社会的な役割について、活発な議論がなされています。建築家の業務範囲、倫理、発注方式など、日本と同じ話題ですが、欧米とは異なる各国の文化や経済状況に応じたアジア各国の議論は、日本にも参考となります。新興国の建設マーケット規模は既に先進国の規模を超えており、アジアの各都市にはビルが林立しています。その筆頭が、世界最大都市圏である東京です。

東京都の各種統計資料を見ますと、近年3年間で3000万㎡以上、工事費は8兆円以上の建築が計画され、その約1/3が大規模な建築計画です。これらの計画は既に完成したものもあり、工事中のものも、その姿が徐々に明らかになっています。JIA本部がある渋谷エリアも、高層ビルや競技場の形が見え始めています。今秋9月に開催する全国大会では、このようにどんどん新しいビルが林立していく東京を、皆様とじっくり議論できることを期待しています。

全国大会の基調講演は同時通訳を入れ、アジアの人と交流し、アジアの現状を実感していただけるよう企画を進めています。さらに、次世代の人々が建築家として育つことを目的とした、新たな形式の公共コンペも実施する予定です。実績がなくても参加でき、かつ実際に建つプロジェクトをコンペとする予定です。実績がなくても、設計業務開始後にデザインレビューをきちっとすれば品質を確保できると自治体に説明しています。実行委員会ではこのような形のコンペやプロポーザルを公共建築で少しずつ増やしていくことを目的として、この企画を進めています。JIA 本部では、近未来委員会が発足し、次世代への議論が活発になってきています。今年の9月は、国際と次世代について、皆様と大いに議論できるよう努力していますので、ぜひ多くの皆様をお誘いのうえ、ご参加していただくよう、よろしくお願いします。

高階

高階澄人Sumito Takashina

ACA18 TOKYO 実行委員長

国際展開につながる国際交流の機会

アルカジア大会にはACA/Asian Congress of ArchitectsとFORUMの二種類の大会があり、一年毎に交互に加盟国・地域をまわり開催されています。ACAは学生ジャンボリーを伴うForumより規模の大きな大会ですが、日本では1997年にFORUM9(第9回フォーラム)が初めて東京で開催されており、それから21年後の今年、ACA18(第18回)として、アルカジア東京大会2018が開催されます。これは現在のアルカジアの加盟国・地域が21であることから、ちょうど順番が一回りしてきた、と言えます。

多くの世界的建築家を輩出し、技術力も併せ持つ日本の建築界は国際的に高い評価と信頼感を得ていますが、その国際活動に対するインバウンドの関心と需要は、災害対策・人材育成などの分野で更に高まりつつあります。またアウトバウンドの視点においても、ビジネスの海外展開のために、特に今後も経済発展が見込まれるアジアにおける交流は、業種・業態、組織の大小に関わらず、前向きに促進されている状況にあります。気候や風土、文化面において多くを共有するアジアの各国と日本の間には、多くの協力や協働の可能性が潜んでいます。

ACA18にはアジア21カ国の建築家、建築関係者が大勢東京にやって来ます。日本から出かけて行き全ての国を回る時間やコストを考えたとき、ACA18は極めて効率的なアジア諸国との国際交流の機会、であることがわかります。文化的活動もビジネスも、すべて「人の出会い」から始まります。JIA建築家大会と連続で開催される今回のアルカジア東京大会2018が、これからの国際活動につながる有益で楽しい国際交流の機会となることを目指して現在準備を進めています。多くの会員の参加をお待ちしております。

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